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19.02.28
膝全般

高齢者に多い「偽痛風」とは

「痛風」は、関節が痛む疾患としてよく知られているものの一つです。中高年男性に特に多くみられ、脚などの関節に炎症を起こし、「風が吹いても痛む」という疾患名の由来通り、突然激しい痛みに襲われる痛風発作が特徴です。

一方、痛風とよく似た症状が現れる「偽痛風(ぎつうふう)」という疾患もあります。有効な治療法は異なるため正しい診断を受け、適切な治療につなげることが大切です。

痛風と偽痛風はどう違う?

まず、痛風についてご紹介します。痛風は、関節内に長い針状の尿酸ナトリウム結晶が沈着することによって痛みを引き起こす疾患です。関節が痛むのは結晶が詰まったり刺さったりするためではなく、身体の防御反応によるもの。関節内の抗原提示細胞が尿酸ナトリウム結晶に反応して炎症性サイトカインを産生し、痛みを生じるのです。尿酸ナトリウムの結晶は比較的低い温度で形成されやすいことから、足首や足の親指といった低温に晒されやすい関節を中心に、炎症が発生します。

一方、偽痛風は、尿酸ナトリウムではなくピロリン酸カルシウムの結晶による炎症性疾患です。ピロリン酸カルシウムが関節軟骨に結晶となってたまって石灰化し、関節内にこぼれ落ちた結晶が、偽痛風発作と呼ばれる急性関節炎を起こします。

偽痛風発作は何の前兆もなく突然、関節やその周囲が赤く腫れて痛みます。発熱を伴うことも少なくありません。また、痛風発作は足首や足の親指の付け根などによく見られるのに対し、偽痛風の発作は膝に出やすく、半数以上を膝が占めているとされています。ただし肩や肘、手首、指関節、股関節、膝、足関節、足指関節など、他の関節に起こるケースもあります。

痛風の好発年齢が30~50代なのに対し、偽痛風はそれよりも高めで60代以上に多く、加齢に伴って患者数は増えていきます。高齢になるほどピロリン酸カルシウム結晶は沈着しやすくなりますが、この結晶が沈着していても偽痛風を発症するのは4分の1程度といわれています。

痛風は遺伝やアルコール、食生活が大きく影響します。一方、偽痛風ではピロリン酸カルシウムが原因で炎症が起きることは判明していますが、ピロリン酸カルシウムが関節軟骨内で石灰化する原因はよくわかっていません。加齢によって軟骨が傷み、その傷んだ部分に結晶が沈着しやすいことも関係があるといわれています。

そして数は少ないものの、比較的若い人であちこちの関節に多発性に発症する遺伝性タイプや、副甲状腺機能亢進症、ヘモクロマトーシス、低マグネシウム血症、低リン血症といった代謝性の疾患に続発して発症するものもあります。また、変形性膝関節症が進行している人ほどピロリン酸カルシウムの値が高いというデータもあり、偽痛風と変形性膝関節症を合併しているケースも少なくありません。膝の半月板を切除した後の膝関節に偽痛風がみられることがあり、外傷や手術との関連性も知られています。

なお、痛風は男性に多く発症しますが、偽痛風の発症者に男女差はほとんどありません。

関節液を調べることで診断できる

偽痛風は症状が痛風や化膿性関節炎、リウマチなどの関節炎と似ているため、鑑別診断が必要です。通常は血液検査、関節液検査、X線検査が行われます。

まず、痛風、偽痛瘋ともに関節炎を起こしていれば、血液中の白血球数とC反応性蛋白(=CRP)が上昇します。さらに尿酸値は痛風であれば高値になりますが、偽痛風では正常値を示します。

関節液検査では、関節腔(関節の隙間)に注射針を刺して関節内にたまった関節液を採取し、白血球や結晶などの成分を調べます。結晶を見つける際には鋭敏色偏光顕微鏡と呼ばれる顕微鏡を使います。関節液を偏光顕微鏡で観察すると、尿酸ナトリウム結晶は針状ですが、ピロリン酸カルシウム結晶は平行四辺形で偏光も弱いといった特徴が見られます。

関節液検査に加えて、X線検査で関節軟骨の石灰化が見られれば、偽痛風の診断はほぼ確実といえるでしょう。

偽痛風は、結晶を薬で取り除く方法がないため、局所の安静と痛みを軽減する治療が中心になります。症状が激しい急性期には、非ステロイド性抗炎症薬の経口投与で痛みを和らげます。その後は症状に応じて副腎皮質ホルモン(ステロイド)薬やヒアルロン酸を関節内注射で投与し、炎症を鎮めます。発熱などの全身症状が現れた場合には、副腎皮質ホルモン(ステロイド)薬を内服することもあります。

また、急性期を過ぎて症状が慢性化した場合も、非ステロイド性抗炎症薬の内服や関節内への投与が行われます。偽痛風は変形性膝関節症を合併していることが多いため、生活習慣の改善やリハビリテーションなども行って、膝の関節にかかる負担を軽減していきます。

症状が強く、薬やリハビリテーションで抑えきれない場合は、関節鏡を使って関節内を洗浄し、ピロリン酸カルシウムの結晶を取り除いたり、変形が進んだ膝関節を人工物に置き換える「人工膝関節置換術」といった外科的な治療を行うこともあります。
激しい関節の痛みは我慢せず、早めに病院で診察を受けることが肝要です。

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