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19.02.28
膝全般

関節軟骨を破壊する怖い病気 化膿性関節炎

関節の腫れや痛みが、日増しに悪化する――。そんな症状が出ていたら、「化膿性関節炎」かもしれません。化膿性関節炎は、細菌感染によって関節が炎症を起こす疾患です。

放置すれば関節が破壊されて変形し、関節の動きが悪くなり、可動域制限などの後遺症が残ることもあります。

細菌が感染し、関節に炎症を起こす

化膿性関節炎は関節内に細菌が入りこんで感染し、関節内に膿がたまります。原因となる菌は、黄色ブドウ球菌が最も多く、次いで連鎖球菌や緑膿菌、肺炎球菌などがよくみられます。

関節内に細菌が侵入するには、主に次のような3つのルートが考えられます。外傷や手術、関節内注射などによる「直接感染」、肺炎や尿路感染など他の感染巣があり、その病原菌が血流によって関節内に運ばれる「血行感染」、さらに骨髄炎や軟部組織感染などの病巣が拡大し、近くの関節に炎症が及ぶケースもあります。特に糖尿病患者や高齢者など免疫力が低下している人は感染を起こしやすいだけでなく、悪化しやすいので、注意が必要です。

化膿性関節炎による炎症はどの関節にも起きる可能性がありますが、膝の関節が最も多く、肩関節や股関節といった大きい関節が好発部位となっています。小児では膝関節は少なく、股関節が大半を占めています。

関節の腫れや痛みが悪化するようなら早めに受診を

化膿性関節炎の主な症状は、関節の痛みや腫れ、熱感、発赤です。発熱や悪寒、食欲不振、全身倦怠などの全身症状がみられることもあります。高齢者で膝などにステロイドやヒアルロン酸の関節内注射を受け、数日後に前述のような症状が出てきた場合には、すぐに医療機関を受診してください。

症状がはっきりしているので比較的発見しやすい疾患ですが、痛みを訴えることのできない乳児で、さらに身体の深部にある股関節に発症すると腫れがわかりづらいため、発見が遅れることもあります。ほとんど関節を動かさなかったり、オムツ交換などで少し脚を動かしただけで激しく泣いたりするときは、小児科や整形外科を受診しましょう。

化膿性関節炎による炎症が長く続くと、関節の表面の軟骨が破壊されていきます。皮膚に「瘻孔(ろうこう)」という孔が開いて膿が排出されることもありますが、骨に破壊が及べば、歩行機能などに支障を来たしたり、関節を包む膜が伸びきって脱臼を起こしやすくなることもあります。こうした後遺症に苦しんでQOL(Quality of Life=生活の質)を落とすことにならないように、この疾患が疑われる症状があるときは、できるだけ早く医療機関を受診し、適切な治療を受けてください。

炎症を抑える治療で骨の破壊を食い止める

化膿性関節炎が疑われる場合には、関節に注射針を刺し、内部の体液を採取する「関節穿刺(せんし)」を行い、関節内にたまっている膿を確認します。化膿性関節炎の症状は痛風や偽痛風などと似ていますが、関節内液の成分を分析することで、こうした疾患との鑑別診断をすることができます。

また、血液検査をすると白血球数の増加やCRPという炎症性のタンパク質の上昇、赤沈(赤血球沈降速度)の亢進(こうしん)といった変化が見られます。なお、進行するとX線撮影で関節の破壊像や骨の虫食い像を確認できますが、初期は病変がわからないことも少なくありません。X線で診断が困難な場合には、骨の破壊の状態をより鮮明に映し出せるMRI検査で確認することもあります。

診断がつき次第、早急に局所の安静と抗生物質の点滴を行い、炎症の鎮静化を図ります。同時に少しでも回復を早めるため、関節にたまった膿を注射器で吸引して関節内の膿の量を減らします。
こうした治療をしてもあまり効果がなく炎症が続くようであれば、手術を行います。手術は関節を切開し、内部にたまっている膿を洗い流し、炎症で傷んだ部分を切除します。この手術は、関節鏡という内視鏡を用いて小さな切開で行うこともできます。

手術後は、ドレーンという管を入れたままにしておき、関節の内部に残っている膿の排出を促します。また、関節内部にドレーンだけでなく、持続的に内部を洗浄する管を留置する「閉鎖性持続灌流(かんりゅう)法」を行う場合もあります。

適切な治療によって急性期の症状がある程度落ち着いたら、関節の機能を保つために、できるだけ早くリハビリテーションを始めます。なお、破壊されてしまった骨は、薬やリハビリで元に戻すことはできません。疼痛が残っていたり、関節の動きが不安定になっている場合には、感染が落ち着いたあとに、関節を固定する「関節固定術」を行うこともあります。

化膿性関節炎は早期に診断し、適切な治療を行うことが最も重要です。関節の腫れや痛みなど、この疾患を疑う症状があれば、一刻も早く整形外科を受診しましょう。とくに高齢者や乳幼児、がんにかかっていて薬や放射線治療を受けている人、糖尿病などの持病がある人など、免疫力が低下している人は、化膿性関節炎に限らずさまざまな感染症にかかりやすいので、注意してください。

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